2017年09月28日01:14
トップページ サスペンス> 【映画】「カラスの親指」の感想と解説

【映画】「カラスの親指」の感想と解説

カラスの親指


カラスの親指(伊藤匡史,2012年)
※このブログにはネタバレが含まれておりますので注意して下さい。

【予告編】

【あらすじ】
タケこと武沢竹夫はやさぐれたベテランの詐欺師。元はまっとうなサラリーマンだったが、闇金の取り立てで職を失う。なし崩しに借金取りにさせられヒグチというヤクザに追い込みを命じられる。その結果、娘を抱えた母親が自殺。良心の呵責から経理資料を警察に持ち込んだ結果、ヒグチたちは逮捕されたが、タケは自宅を放火され幼い娘を失う。なにもかも失ったタケは自殺を図ろうとするも死にきれず、復讐を恐れ逃げ回る生活を余儀なくされていた。そんなとき、鉄橋で下をのぞき込む男(テツ)を見かける。自分も追い詰められた過去を持つタケはテツを拾い、二人はコンビを組んで仕事を重ねる。競馬場で一仕事終え、ラーメン屋で食事をしていた二人は住んでいるアパートが火事になったことを知り慌てて逃げ出す。タケとテツは綾瀬に一軒家を借りて新生活を始めた。上野での一仕事のあと、二人は仕事に失敗したスリの少女(まひろ)を見かけて逃がしてやる。その後、まひろから生活に窮していることを聞かされたタケは一万円札を渡し、困ったことがあればウチに来いと誘う。ある朝二人が目覚めると若い3人の男女が茶の間に勝手に上がり込んでいた。それはアパートを追い出されたまひろと、美人だが常識も生活力もない姉のやひろ、そしてやひろの恋人で図体はデカいが気が小さい元イジメられっ子で失業中の時計職人貫太郎だった。貧乏人同士助け合おうというタケの提案で5人は共同生活を始める。子猫の「トサカ」も加わり、家族のように暮らす5人だが、平和な日々は長くは続かなかった。怪しげな車が様子を伺うようになり、ボヤ騒ぎが起きる。そして、「トサカ」が姿を消し、変わり果てた姿で発見される。5人はヒグチへの復讐を企てる。だが、その後明らかになったのは思いも寄らないとんでもない事実だった・・・。
Wikipediaより

【感想・解説】
道夫秀介原作の小説を映画化したのが本作品。


道夫さんといえば「向日葵の咲かない夏」が一番好きです。

向日葵の咲かない夏は「叙述トリック」が使われた代表作です。推理小説は犯人が探偵を騙すのに対し,叙述トリックは作者が読者を騙します。道夫さんはこのように構造や伏線をきちんと作られる方で,本作品も叙述トリックとまではいかないものの,そのセンスが光っていたどんでん返しの作品でした。

簡単にネタバレ込みのストーリーを紹介すると,
タケさん…以前ヒグチに借金をかたに悪い仕事をさせられ,まひろらの母親を自殺に追い込んでしまい,ヒグチを通報して逮捕までしてもらうが,ヒグチの影におびえて逃げ回る生活をすることになり,詐欺家業をしながらまひろらにお金を送っており,寂しそうなテツを助手に迎え入れる。
まひろ…母親の自殺以後頑張って生きているがスリで生活し,兄弟らは自立するだけの力がない。
といった状況で,ヒグチの金を盗んで組織を壊滅においやる詐欺をするというお話。
ヒグチの金を無事に奪った後,あまりに出来すぎていることに不審を抱いたタケさんが調べてみたところ,全てテツが仕組んだことであった。テツはまひろらの父親であり,大詐欺師であったが病気で余命1年とされ,全ての事情を知った上で,タケさん・まひろらを救い,ヒグチに復讐をするために,「アルバトロス作戦」として全員を引き合わせたのであった。


タイトルの「カラスの親指」ですが,副題が「by rule of CROW's thumb」となっています。「rule of thumb」は直訳で「経験則」ですが,前置詞をつけると「〜のやり方」となり,カラスは詐欺師の隠語ですから,直訳だと「詐欺師のやり方」を意味します。詐欺師であるテツさんが,説得など普通のやり方ではなく,詐欺師の騙し合い「コンゲーム」,すなわち1石3鳥の「アルバトロス作戦」を用いたことを「詐欺師のやり方」と表現しているのだと思います。
また,この「カラスの親指」はダブルミーニングになっていて,映画中のこのセリフをさしています。
『タケさん、お父さん指とお母さん指くっつきます?』
『簡単だろ、こんなの』
『じゃぁお父さん指とお兄さん指は?』
『くっつくよ、ほれ』
『じゃぁ、今度はお母さん指でやってみてください、同じこと』
『んっ』
『母親とこども、なかなか上手く寄り添わなくないですか?』
『うん、難しいな』
『じゃぁ、お父さん指も使ってやってみてください』
『あ、くっついた』
『そういうことなんだと思います。どっちも揃ってんのがやっぱり一番なんすよ』
「アルバトロス作戦」において,テツさん(カラス)はこの親指の役割を果たしてタケさんとまひろらをくっつけたのですね。この親指の規則はいつか何かに使ってみたいですね。

映画自体が二時間半と長く,途中の和気藹々シーンはなんだか茶番感がすごくてげんなりしていたのですが,テツさんの病気やアルバトロス作戦の真相を知った後だとあのシーンも大事だったんだなあと納得してしまいました。構成・展開だけで星4をつけたいけれども,中だるみや詐欺の稚拙さからギリギリ星3つといったところですかね。
評価:★★★☆☆(3/5)






kako-niWbjB9feDGEPFoa

Comments(0) サスペンス | 

コメントする

名前
 
  絵文字